2020年甲子園高校野球交流試合」もいよいよ最終日。
いつもの半分くらいの日程で、途中2日の予備日を挟み、雨中もなく試合中の雨もなく、無事に日程を終えることができました。

第6日目
第一試合 大阪桐蔭(大阪)×東海大相模(神奈川)
第二試合 智辯和歌山(和歌山)×尽誠学園(香川)
第三試合 白樺学園(北海道)×山梨学院(山梨)

第一試合 大阪桐蔭(大阪)×東海大相模(神奈川)

どちらも優勝経験のある高校で、意外にも初対戦の両チーム。
出場する度優勝候補に挙がる両チーム。
大阪桐蔭の西谷監督と東海大相模の門馬監督は同学年対決でもあったようです。
横綱な強さの大阪桐蔭、「アグレッシブベースボール」をモットーとして隙のない野球をする東海大相模。
両チーム花咲徳栄のようにYouTubeライブでリモート応援していました。
球場の応援だけで見ようと思っていたのですが、やはり気になって最初はYouTubeライブも同時進行で見ていました。ただ、ブラバン応援が好きな人にはありがたい企画ですが、私みたいな注意散漫な人には不向きで途中からテレビ中継のみにしました。

1回ウラに大阪桐蔭が先制した後は両者あまり走者を出せず試合が進んでいきます。
1時間かからずに5回まで終了。
大阪桐蔭藤江星河投手、東海大相模石田隼都投手の好投と内外野の好守備も随所に見られ、走者が出ても進めないというような流れになっていました。
7回表、東海大相模はようやくチャンスらしいチャンスを作る。先頭が四球で出塁から安打、盗塁などで無死二三塁、一死後に神里陸選手の2点適時打で逆転。
1安打で一塁走者が三塁に行くなど、東海大相模らしい隙のない走塁も見せました。
走塁というと健大高崎の起動破壊が有名ですが、東海大相模の隙のない走塁は健大高崎以上だと思っている。
試合は動き出すと一気に動いたりするもの。
7回ウラに今度は大阪桐蔭が安打とボークで一死二塁とする。
東海大相模は犠打を三塁で刺すとか守備も積極的。
積極的守備というと前橋育英を思い出すが、攻めた守備という面では前橋育英の方が積極的な印象はある。
比較対象がどちらも群馬の高校というのもなかなか。
その後四球や野選で一死満塁。
この野選は石田投手がボールを手で捕りにいって、その後の三塁への送球がそれたもの。
犠飛で大阪桐蔭が同点とする。
大阪桐蔭は藤江投手に代打を出したので松浦慶斗投手へ継投。
東海大相模も石田投手の代打に門馬功選手(門馬監督の次男)を送り継投。
その代わり端、2安打と犠打で一死二三塁と攻めた大阪桐蔭が背番号14番の薮井駿之裕キャプテンの外野の前に落ちる適時打で二人還って勝ち越し。
この時大阪桐蔭の応援からはチャン手が起こる。
東海大相模はエースの諸隈惟大投手が後続を抑え9回。
9回は打者が粘るも三者凡退で大阪桐蔭が逃げ切りました。
序盤は動きそうにないところから終盤に試合が動いて、競った中で大阪桐蔭が一歩抜け出たといった印象。
2時間弱のスピーディーな試合ではありましたが、両者の強さ(投手力、守備、走塁)を見た気がします。
さすが、名門対決。

個人的には東海大相模の先発の石田投手の好投と、素手でボールを捕りに行った気持ちが印象的でした。
2年生なので今後も注目です。

東海大相模はまだ神奈川大会も残っているので神奈川大会が最後になるということです。
いい終わり方ができればいいですね。

大阪桐蔭4-2東海大相模

第二試合 智辯和歌山(和歌山)×尽誠学園(香川)

智辯和歌山と尽誠学園、どちらも県大会優勝のチーム。
第二試合も同年代監督対決とのこと。
和智辯は少人数制をとっていて、今年は37人だそうです。
対する尽誠学園は81人、3年生が37人か38人で和智辯の全部員数と同じくらいでした。
智辯和歌山は去年の8月17日の第二試合に試合があって、星稜と延長14回の熱闘だったことをツイッターで知りました。
■参考 『第101回全国高校野球選手権大会-第11日目- 感想

この試合も先攻の和智辯が初回に1点先制。
そのウラに尽誠学園も安打、犠打、適時打で同点とする。
2回ウラに連打、犠打、死球で一死満塁のチャンスを作った尽誠学園はキャプテンの菊池柚選手の走者一掃の適時打で3点勝ち越す。
更に代わった池田泰騎投手からも2点適時打で序盤から尽誠学園が和智辯を大きく突き放す展開。
4回にも尽誠学園は追加点を挙げる。
村上侑希斗投手の好投で和智辯は走者を出しながら本塁が遠い。
5回ウラようやく尽誠学園の攻撃を3者凡退に抑え、6回ウラから和智辯はエースの小林樹斗投手が登板。
去年の星稜戦でも登板した小林投手は同じ日も甲子園で投げていたことになります。
8回から尽誠学園も継投、2年生の谷口颯汰投手が登板、和智辯は走者を出しながら無得点。
8回ウラ、小林投手は最後に151キロで三振を取りました。
エースの意地を見た気がする。
9回表の尽誠学園のマウンドは遊撃から仲村光陽選手、ユニフォーム真っ黒。
最後の打者は去年も出場していた綾原創太選手
秋の大会で目を負傷したということでサングラスでの出場していました。
打席でのサングラスと笑った真っ白な歯が印象的でした。
最後は一塁への邪飛で試合終了。
尽誠学園が18年ぶりの勝利を挙げました。
思わぬ点差が付いた試合でしたが、尽誠学園の投手陣が走者を出しながらも1回以降本塁への生還を許さず、打線も和智辯投手陣をしっかり打っていった尽誠学園の快勝でした。
打撃では川﨑風汰選手がいい活躍をしていたと思います。

そういえば、4回には和智辯の代打に高嶋監督のお孫さんの高嶋奨哉選手が登場しました。
2年生なので今後も楽しみです。

尽誠学園8-1

第三試合 白樺学園(北海道)×山梨学院(山梨)

交流試合の最終試合。

山梨学院のエースの吉川大投手は山梨大会で頬を骨折したということでベンチから外れ、今日は1年生の川口龍己投手が大抜擢、1年生が交流試合で先発したのは初めてとのことです。
川口投手は山梨学院の吉田監督と同じ佐世保出身とのこと。
立ち上がり二死を取った後、安打と申告敬遠と安打で満塁のピンチを招く。
申告敬遠はスコアボードに「申告故意四球」と表示されるようです。
地方大会で一回見たことがあった気がしましたが、申告敬遠は今年から高校野球でも導入されたようです。
球数制限も今年のセンバツから導入だったので今年は高校野球に新たな変化がある年だったのだと実感。
この後、押し出しで白樺学園が先制。
2回表に山梨学院が安打で繋いで同点。
4回表に山梨学院は一死から連打と好走塁で二三塁。邪飛が犠飛となり、山梨学院が勝ち越し。
5回ウラ、白樺学園川波瑛平選手大会第3号本塁打で同点。
この後2安打されたところで川口投手から同じく1年生の古川秀将投手に継投。
片山楽生選手の犠飛で勝ち越しかと思われたところで、タッチアップが早く三塁走者が塁に戻ったところでアウトの併殺。
白樺学園にとっては不運、山梨学院にとってはラッキー。
その後を二死一二塁を抑え同点で6回に入る。
白樺学園は継投、代わったところを山梨学院が一死満塁と攻め、3点適時打で勝ち越し、7回にも代わった投手から追加点を挙げる。
9回ウラ、二死から本塁打の川波選手の執念の内野安打と四球で二死一二塁と攻め、適時打で1点を追加も、一塁走者が二三塁間に挟まれアウト。
1年生リレーで山梨学院が交流試合の最終試合を制しました。
5回ウラが勝負の分かれ目だったと思う。
もしあの場面で白樺学園が勝ち越していれば、また違った展開になっただろうと思うけどたらればはないからなあ。
あとは継投した投手を打ち崩した山梨学院の打線が上回った感じでした。
点差はつきましたがいい試合でした。

試合後のインタビューで山梨学院のキャプテンの㓛刀史也選手が高校野球を「満足といえる」と言っていたのが印象的でした。
いろいろ今年は辛い思いをしてきたと思いますが、満足の結果であれば報われるよね。

山梨学院8-3白樺学園

閉会式

閉会式は白樺学園の選手と山梨学院の選手がベンチ前に並んで、国旗後納のみ行われました。
バックスクリーンに映し出された交流試合に出場した選手の集合写真だけで泣けました。
国歌がこんなに胸にしみることはないだろうと思いました。

いつもより少し早い夏が終わりました。

本来ならあるはずのなかったセンバツ。
本来ならあるはずのなかった「夏の甲子園」。
92回のセンバツ出場校を招待しての交流試合という形で「夏のセンバツ」を開催してくださったことに感謝します。

6日間という短い日程。
1試合のみに懸けた青春。
トーナメントとはまた違う特別な1試合になったと思います。
その中でそれぞれの考え方や普段は見ることのない部分を見られたような気がします。

今年も高校野球にありがとう。

特別な夏にあって、センバツや選手権と「当たり前」に開催される「有難さ」を知りました。
秋以降は何事もなく普通に地方大会、地区大会、神宮大会、そして センバツ・選手権が開催されることを切に願いたい。